「感情労働」と「ナラティブ(語り)アプローチ」

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1.「感情労働」とは

(1)「感情労働」に興味を抱いた理由

私が人財育成アドバイザーとして、初めて仕事をいただいたのは、介護施設の職員向けの研修でした。

求められた研修内容は「入社3年目の社員」が対象で、今後のためのモチベーションを高めることのできるような内容ということでした。
とても、ザックリとした依頼内容でしたが、初めて仕事、逃すわけにはいきません。

どのような内容にすれば良いのか、考えました。

「う〜ん」

私自身が、介護の職場で働いたことがないので、ニーズが掴めませんでした。

悩んでいると、ふと「感情労働」という言葉が脳裏に浮かび上がったのです。

皆さんは「感情労働」という言葉をご存知ですか?

最近は、チラホラと「感情労働」という概念が話題になることがあります。

これまで「労働」という言葉は大きく「肉体労働」と「頭脳労働」に分けられてきましたが、昨今、その2つには該当しない「精神的」なものの比重が増えている「労働」が存在のではないかと考えられるようになりました。

それが「感情労働」と表現されるようになったようです。

私が、この「感情労働」という言葉に興味を持ったキッカケは、自分自身の会社勤務時代の職務経験からです。

担当した職務の一つに「クレーム処理」が課せられていたためでした。

直接顧客からクレームを受け付けなければならなかったのです。

サービス・小売業は、常日頃から「顧客のために」というフレーズを合言葉にしているようなところがあります。
そのためか、顧客はかなり優位な立場で様々な事を申し立ててきます。

クレーム受け付け担当者は、その合言葉を胸にしまい込みながら、顧客のクレームに耳を傾けなければなりません。
クレームに耳を傾け職務を遂行するには、適切な感情を演出しなければならないのです。

そのことを頭で理解していたとしても、相手側の感情をストレートに受けるのは、なんとも言い難いほどのどんよりとした大きな心的負担を心の中に残す場合が多々生じるのです。その職務を通して、クレーム処理とは、気持ちのコントロール・抑制に注意を払わなければならない精神的負担の高い労働であるということ改めて実感したのです。

そして、この精神的な負担の高さが評価されないことに、いつも不満を抱いているました。だからこそ、「感情労働」という言葉に興味を抱いたのです。

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