(1)ナラティブとは
ナラティブ(narrative)という言葉はあまり耳慣れない方も多いのではないでしょうか。名詞化した「ナレーションnarration」を思い浮べてもらえればわかりやすでしょう。
ナラティブとは、
「物語ること」という意味です。
ストーリーや語りなどを広く意味する言葉として使われています。
1990年代以降、「ナラティブ(物語ること)」は、小説やドラマ、戯曲の世界だけではなく、各所で注目を集めるようになったのです。最初にナラティブの新しい活用法を発見したのは、臨床心理の現場でした。
ナラティブ・アプローチの発想の核は、「人は、自分の人生の経験に、物語を通じて意味をあたえる」というものです。
人々の体験やできごとは、「データ」や「値」のような個別のことがらではありません。それらを線的につなぎ合わせることで、意味的に理解し、認識の基礎として保持することができるようになるのです。
ナラティブ・アプローチは、患者(クライアント)からこうした「物語の語り」を引き出し、物語を通じて精神的な回復の手助けを目指していくものとして、研究されているのです。