(3)話しをすることの効用
一般的に、話しをすることの効用について以下のような説明がなされます。
① カタルシス効果
胸の内にしまっていたものを言動として外に出すと、何故かすっきりします。
そのような状況を「カタルシス効果」といいます。
ストレスがたまったときに友達とおしゃべりするとストレス発散になり、気持ちが軽くてなるのと同じような効果です。
このカタルシス効果によって、気持ちに冷静さやゆとりができるとされています。
② 自分の状態に気づく
カタルシス効果のもとで、さらに自分自身の内面について言葉にすることで、自分自身を客観的に知る機会にもなるようです。
自分自身の内面と話すことにより、自分が思っているより不安や怒り、不満があることに気づいたり、またその逆もしかりなのです。
③ 自分自身を受け入れられるようになる
誰かと話した内容が否定的だったとして、それでも聴き手が興味をしめしてくれる(肯定も否定もなく話をそのまま受け入れている)と、話し手本人が受け入れてもらっているように感じます。
否定的なことを話す自分を聴き手が受け入れてくれるということは、話し手自身をありのままOKな存在と認めてくれている状態なのです。そのことで、話し手自身も自分のことをOKと捉えやすくなるようです。
④ 自己理解が進む
一人ぼっちで頭の中で考えているとグルグルと同じような思考パターンに陥ります。聴き手に相槌や頷き、聞き返し、質問などをしてもらうことにより、今まで自分で気がつかなかった考えや思いが表出したりします。その事により、新しい解決法や改善方法が自ずと見つかる場合もあるようです。
⑤ 信頼関係ができる
話をするということは、多かれ少なかれ自分の内的世界観を話すことでもあります。
聴き手に、そのことありのまま受け取ってもらえることは、話し手自身が肯定された事になり、尊重されていることになります。
その作用により、相互に信頼関係が深まるようです。
話をすることの効用を使い、「感情労働の現場」で働く方々のストレスを少しでも軽減できないかと考えました。
話す事の効用を体験できる研修はないかと探していて出会ったのが、ナラティブアプローチでした。