介護の現場だけの法則ではありません。
人が集まって何かをやったときに、起こってくる法則性です。
なので、「建設の現場」や「トラックや運送の現場」でも共通で、労務災害にも同じことが言えてます。
重大事故「人の生死にかかわる重大事故」が1件発生する背景には、生死にかかわるほどではないけれど具体的に損害・被害が発生してしまった事故が29件潜んでいるのではないですか?ということです。
さらに、具体的な被害・損害は発生していないものの「危なかったぁ~」「ヒヤッとした」「ハッとした」「ドキッとした」「ビックリした」ということが300件あったといわれてます。
この考え方ですが、どういうことかといいますと、
転倒が300回起こったら、1件重大な事故が発生してしまう!!
ということ法則性ではありません。
もしくは、私個人が300回ドキッとしたらそろそろ危ない!ことでもありません。
どういうことかといいますと、
「同じ原因を持つようなことが積み重なっていった場合には・・・」
ということです。
例えば、同じ転倒事故であった場合としても、
私が利用者に履き物を履き替えていただこうと思って一緒に付き添いながら歩いていました。
あと少しだなと思いながら、(当然、目を離してしまうとマズイので)利用者とお話をしながら介助をしていました。
そうすると、後ろから大きな声をかけられました。
「ちょっと待って!!」
「何ですか?」
ビックリして振り向いた隙に利用者が転倒してしまったというケース。
「私が目を離したから転倒してしまった」
私の落ち度で転倒1件ということではないです。
実は、このような事故が起こってしまった原因にあるのは何ですか?
という考え方です。
何かというと、今回のケースでいけば、
「ちょっと待って!」
と、歩行介助中で目を離してはいけない人に対して後から驚かせるような大きな声をかけたということが原因です。
こういうことが積み重なっていくと・・・。
原因の問題です。
例えば私がこの事故で落ち込んでいるときに、
また別の日に同じことがあっても振り向かないと思います。
介助が終わってから
「何ですか?」
と聞くと思います。
私自身の2回目の事故は防げると思いますが、
私ではなく、他の人にその方が同じように声をかけたらどうでしょう。
また転倒事故が起きてしまうかもしれません。
そういうことが積み重なっていくと・・・ということです。
いろんな事故やヒヤリハットがあるかもしれませんが(実際にはあります)、いろんな事故報告書やヒヤリハットを拝見させていただいて分析をすることがあるのですが、そうすると類型は違うのに、なんか同じニオイがするなぁというものが出てきます。
それが原因です。
その原因を捕まえていって、対策をすることによって「重大事故」を遠ざけていくことができます。
いろんな事例が集まってくる中で、原因を探しやすいですし、実際に転倒したのか、しそうだったのか、何もなかったけどヒヤッとしただけなのかとか、いろんなことがあるかもしれませんが、ヒヤリハットや事故関係やそういったものに対する敏感な皆さんのアンテナが事故防止にとても重要です。