1,本当に、今まで行っていなかったのでしょうか?
「今後の対策」の欄は、今まで不十分だった、行っていなかったので、
これから行います
ということを記入する欄です。
第三者(ご家族等々)はそう感じます。
それなのに、今まで当たり前のように行っていたことを記入していませんか?
ご家族は、日常において、施設での生活やサポートをすべて見ているわけではありません。
事故にあって初めて、ご家族は、施設の対応やり利用者(入居者)へのサポート内容に“深く”興味がわきます。
書類の開示を受けたご家族がご覧になった時「今後の事故防止対策」欄の記載をご覧になると・・・
例えば、事故があった際に、今後の事故防止対策の欄に
丁寧に様子観察を行う
しっかり見守りをする
と記入してあるケースが見受けられます。
第三者(特にご家族)がみた時のどう思うでしょうか?
しっかり説明してもらいたいと思うのは当然として、今後の対策の欄に
丁寧に様子観察を行う
しっかり見守りをする
と書いてあったらどう思うでしょう?
今までもちゃんとやっておいてよ!!
と思いませんか?
今まで行っていなかったから対策の欄に記入するわけですから、
今までやっていなかったの?
と、ご家族等々に思われるわけです。
そうすると、ご家族からの“不信感”が生まれます。
今までもキチンと行っていました!!これからも行います!!という意味なんです!!
と説明はされると思いますが、
多分信用してもらえません。
なぜなら、「記録を見せてください」と言われる時点で、施設(法人)との信頼関係に、小さな綻びができてしまっています。
通常ですと、
事故が起きました
↓
今後の対策は、こうしていきたいと思います。
↓
口頭での説明、謝罪をして、ご理解を得るケースが多いと思います。
しかしながら、「事故報告書を見せてください」「介護記録を見せてください」等踏み込んできた場合、
皆さんの説明を信用できないから、実際の記録を見せてほしい
という事なんです。
実際に見ていただいて、
丁寧に様子観察を行う
しっかり見守りをする
と記入してあったら、
きちんと行ってくれていたら、こういう事(事故)にはならなかったでしょ!!
と言われ
キチンと行っていました
と説明しても
記入してあるでしょ!!不十分だったから書いてあるんでしょ!!
と、言った!言わない!の話になってしまいます。
.
もの凄く勿体ないです。
ここでお願いがあります。
今後の対策の欄をサラッと記入しないでください。
見守り、丁寧な様子観察は必要です。
それが効果的なことも多々あります。
その時は、頭に一言付け加えてください。
それは「今まで通り」です。
今まで通り、丁寧な様子観察を行う
今まで通り、しっかり見守りをする
この一言が無いと、
行っていなかったの?
と言われてしまう素因をつくってしまいます。
折角、一生懸命行っているのに、記入の仕方1つで
えっ?
と思われてしまうのは、非常に勿体ないです。
ですので、今まで行っていたことを続けていくのが必要な場合、
「今まで通り」
の一言を付け加えていただくことだけで、ご家族との信頼関係が揺らぐことを防ぐことができます。
些細なことかもしれませんが、注意が必要です。
2,今後は実行することが可能でしょうか?
“すでに実行していたこと”についてもサラッと記入していませんか?
事故が発生した際、
軽微な事故であれば“初回は”比較的ご家族のご理解も得やすいと思います。
当然のことながら、ご家族から「今後注意してくださいね」と要望されたり、
または「しっかりと対策します」と約束をすることになります。
2回目の事故については
「やってくれるといったじゃないか」
「対策もするといったじゃないか」
と、“約束”が守られていないことになってしまいます。
“約束”が守られないと新たな不信感につながります。
「やった方が効果があるなぁ」という場合は、後ろに
「~について検討する」
を付け加えてください。
「具体的な記載」を行うか、「~について検討する」
をしていただきたいです。
例えば
こまめな巡視について検討する
です。
そうでないと、事故報告書は何かというと
たまたまその現場にいた職員
または、
第一発見者になった職員
が記入することになります。
その職員個人の責任で、施設(法人)としての今後の対策を記入するのは、荷が重いです。
職員個人の中でカチッと書いてしまうのではなくて、
「~について検討する。」
言葉で逃げているような感じもするかもしれませんが、
「勘違いをされないような記入の仕方」
も重要になってきますので、
いつも行っていることを続ける場合には
「今まで通り~」
この方が効果的かな?という場合のは
「~について検討する。」
という言葉を付けていただければありがたいです。
3,皆で“気づく”ことができるでしょうか?
事故報告書は、内部(施設内・法人内)で使用する書類ではありません。
個人情報保護法の対象外の書類ではないです。
個人情報保護法では、専ら内部で使用する書類以外のモノについては事故情報の開示請求を除く開示をしなければなりません。
対して、ヒヤリハット報告書は、専ら内部で使用する書類です。
事故報告書は、一定の事故に関しては都道府県に報告しなければならない報告書になります。ですので、専ら内部で使用する書類ではないです。
「事故報告書を見せてください」と言われたら、ご覧になっていただく書類になります。
報告者は個人の名前を書きますから、私の気持ちだったり、私だったらこうする、という事を書きがちですが、事故報告書は施設で作成・保管すべき書類です。報告者は別です。施設としての事故報告書ですから、個人的な事を書く必要がありません。
どういうことを書いていただきたいかというと、
私だったら出来るけど
私だったら気づくけど
私が担当の時だったら出来るけど
という事は書かないでください。もちろん反省文も書かないでください。
施設としての対策になっていないからです。
施設として作成・保管すべき書類であれば、施設として対策を検討する書類です。
思いつかないのであれば、「事故防止委員会にて検討していただく」でも大丈夫です。
事故報告書は
【介護職員レベル】ではなく、【施設(法人)レベル】での対策を検討する。
事故報告書の書き方によるご家族とのトラブルは、辛いです。
事故が起こってしまっただけでも不幸なのに、その後の段階で信頼関係に綻びができてしまった後に、「記録を見せてください」見た後に、「そんなつもりで書いていないのに勘違いをされてしまう」・・・
非常に辛い問題になってしまいます。
今後の対策の記入については、十分注意してください。